偉人たちの知られざる物語

「鉄血宰相」ビスマルクも?知られざる「意外な犬好き」な素顔

Tags: ビスマルク, 意外な一面, 人間ドラマ, 犬, 歴史上の人物

鉄血宰相と呼ばれた男

オットー・フォン・ビスマルク。この名前を聞くと、多くの人は「鉄血宰相」という言葉を思い浮かべるのではないでしょうか。プロイセン、そして後のドイツ帝国を強大な力でまとめ上げた彼は、冷徹で計算高く、目的のためには手段を選ばない政治家として知られています。その強靭な意志と圧倒的な指導力で、ヨーロッパの地図を塗り替えた人物です。

しかし、そんな強面の「鉄血宰相」にも、知られざる人間味あふれる一面がありました。それは、彼が生涯を通じて深く愛した「犬」の存在です。

冷徹な政治家の「意外な愛犬家」エピソード

ビスマルクは、特にグレートデーン種を深く愛しました。彼の政治活動の最中、重要な会議や公務の場でも、愛犬を常に傍らに置いていたと言われています。時には、犬が足元で寝息を立てたり、会議中に突然立ち上がったりすることもありましたが、ビスマルクは全く気にする様子を見せず、むしろ愛おしそうに見守っていたそうです。

有名なエピソードとしては、ヴィルヘルム1世との会談中にも、ビスマルクの愛犬が彼の椅子にもたれかかったり、近くに寝そべったりしていたという話があります。通常であれば、国王の前で犬が無作法な振る舞いをすれば叱られるところですが、ビスマルクは意に介さず、ヴィルヘルム1世もビスマルクと彼の犬の関係性を理解していたのか、特に咎めることもなかったようです。

彼は愛犬たちを非常に大切にし、最高の食事を与え、病気になれば手厚く治療を受けさせました。犬が亡くなった際には、心から悲しみ、深い喪失感を抱いたと言われています。公的な場で感情を表に出すことが少ないビスマルクが、愛犬の死に際して涙を見せたという話も伝わっています。

なぜ「鉄血宰相」は犬を愛したのか

なぜ、あのような権謀術数渦巻く政治の世界に身を置き、「鉄血」とまで呼ばれた人物が、これほどまでに犬を愛したのでしょうか。

考えられる理由の一つに、激務と極度のストレスから逃れるための「癒やし」があったかもしれません。常に国家の命運を背負い、国内外の複雑な政治問題に対処し続けたビスマルクにとって、無条件の愛情を寄せてくれる犬の存在は、張り詰めた心を解きほぐす貴重な安らぎだったのでしょう。人間関係の駆け引きに疲れた時、純粋な動物の存在は、彼に素の自分に戻る時間を与えてくれたのかもしれません。

また、犬は人間のように裏切ることも、打算で近づくこともありません。孤高の政治家として、多くの敵や批判に晒されたビスマルクにとって、犬の忠誠心や信頼は、何よりも代えがたいものだったのかもしれません。

人間ビスマルクの垣間見える側面

ビスマルクの犬好きというエピソードは、「鉄血宰相」という教科書的なイメージだけでは捉えきれない、人間ビスマルクの複雑で魅力的な一面を垣間見せてくれます。強靭さの裏に隠された、繊細さや、愛する対象への深い愛情。それは、偉大な歴史上の人物もまた、私たちと同じように感情を持つ一人の人間であったことを教えてくれるのです。

犬と共に過ごす時間の中で見せた、ビスマルクの穏やかな表情や深い愛情は、冷徹な政治家というパブリックイメージとは大きく異なります。この意外なエピソードを知ることで、私たちはビスマルクという人物を、より多角的で人間的な視点から理解することができるのではないでしょうか。