英雄ナポレオンも？知られざる「意外な苦手なもの」
戦場の英雄に見せる、意外な一面
ナポレオン・ボナパルト。その名前を聞けば、多くの人は戦場で指揮を執り、冷静沈着に勝利を掴んでいった英雄の姿を思い浮かべることでしょう。フランス革命後の激動の時代を駆け上がり、ヨーロッパにその名を轟かせた彼には、まるで怖いものなどないかのようなイメージがあります。
しかし、そんな百戦錬磨の英雄にも、意外な「苦手なもの」があったと言われています。それは、獰猛な敵軍でも、困難な政治情勢でもありませんでした。多くの人が身近に感じている、ある小さな動物だったのです。
ナポレオンが震え上がったものとは
その意外な苦手なものとは、なんと「猫」だったというエピソードが伝わっています。
ナポレオンは、猫を見ると明らかに不快な表情を見せたり、近づいてくる猫から距離を取ったりしたと言われています。単に「好きではない」というレベルを超え、恐怖に近い感情を抱いていた、という記述も見られます。ある時、飼い猫が部屋に入ってきただけで、剣を抜いて追い払おうとした、という逸話まで残されているほどです。
このエピソードは、彼が戦場で見せた大胆さや冷静さとはあまりにも対照的です。ライオンのような猛獣や、敵の銃弾にもひるまなかったであろう人物が、しなやかで小さな猫を恐れていたというのは、にわかには信じがたいかもしれません。
なぜ猫が苦手だったのか
では、なぜナポレオンはこれほどまでに猫が苦手だったのでしょうか。その明確な理由は歴史的に証明されていませんが、いくつか推測される説があります。
一つには、幼少期に猫に関する嫌な経験があったのではないか、という説です。子供の頃に猫に引っかかれたり、怖い思いをしたりした経験がトラウマとして残った可能性が考えられます。
また、当時のヨーロッパには猫に対する迷信が存在しました。特に黒猫は不吉なものとして扱われることもあり、そうした時代の風潮がナポレオンの猫に対する感情に影響を与えた可能性も否定できません。しかし、彼ほどの合理主義者が迷信に囚われたか、という疑問も残ります。
あるいは、猫の予測不能な動きや、静かに忍び寄る様子が、常に状況を支配していたいと考えるナポレオンにとって、本能的な不快感や恐怖心を抱かせたのかもしれません。
完璧な英雄像の裏にある人間らしさ
この「猫嫌い」のエピソードは、ナポレオンという人物像に深みを与えてくれます。教科書で学ぶ偉大な業績や戦略家としての側面だけでなく、彼もまた私たちと同じように、個人的な感情や、意外な弱点を抱えた一人の人間であったことを教えてくれるのです。
戦場では勇猛果敢でも、日常には個人的な恐れや苦手なものがある。そのギャップこそが、偉人たちの人間味あふれる魅力と言えるのではないでしょうか。ナポレオンの猫嫌いの話は、彼の完璧な英雄像の裏に隠された、身近で愛すべき人間らしさを垣間見せてくれるエピソードと言えます。